因幡電機産業のEnOcean無線通信に対応した[シグナルウォッチャー ]ノードと[シグナルウォッチャーA&E]ノードを使用した、エッジアプリの作成を学びます。

920MHz帯の無線通信方式であるEnOcean通信は、省電力のセンサ向け通信方式として多くのメーカの様々なセンサに採用されています。ここでは、製造現場でよく使われる三色灯(タワーライト)の状態検出センサである因幡電機産業のシグナルウォッチャーを使ったエッジアプリケーションを作成してみましょう。

以下の記述では、因幡電機産業製のシグナルウォッチャーの基本仕様を理解いただいていることを前提としております。
シグナルウォッチャーのWebサイト

では、データの取得方法を学んでいきましょう。

ノードの選択

他のセンサ・制御機器のノードと同様、[シグナルウォッチャー ]ノードと[シグナルウォッチャーA&E]ノードも[iaCloud devices]カテゴリーにあります。見つけにくい場合は、ノードを検索ウインドウに「シグナル」などと入力すると簡単に見つかります。下図のフローは、本項で作成するフローです。

[EnOcean通信]設定ノード

[シグナルウォッチャー ]ノードと[シグナルウォッチャーA&E]ノードをダブルクリックしプロパティ設定ウインドウを開くと、一番上に「通信ノード」とあり、EnOcean通信の設定ノードを選択する必要があります。この[EnOcean通信ノード]は、接続するEnOcean通信ポート一つに対して、一つの[EnOcean通信ノード]を追加し、それを複数のEnOceanを使うノードで使用できます。既存の[EnOcean通信ノード]がある場合は、それを選択します。最初は存在しないので、鉛筆マークボタンから新規作成し、追加します。

[EnOcean通信ノード]には唯一のプロパティとして、EnOcean通信を受信するUSBドングルを装着したシリアルのポートの選択があります。

このポートの選択は、虫眼鏡マークをクリックすると現在接続されているシリアルポートのリストが出ますので、EnOcean通信のUSBドングルを装着したポートを選択します。
どのポートがEnOceanUSBドングルかわからない場合は、ドングルを抜き差して見て確認ください。

[シグナルウォッチャー]ノード

以下の説明では、因幡電機産業のシグナルウォッチャーSE-SW001Aを接続し、アプリケーションを作成します。シグナルウォッチャーは、光ファイバーを通して、タワーライトの最大4チャネル(4色)の点灯状態とシグナルウォッチャーの動作状態を検出します。取得できるデータは以下です。

  • CH1点灯状態データ:0 – 消灯、1- 点灯、2- 低速点滅、7 – 高速点滅、8 – 瞬時消灯、 9 – 瞬時点灯 
  • CH2点灯状態データ: 同上
  • CH3点灯状態データ: 同上
  • CH4点灯状態データ: 同上
  • 電波状態:
  • バッテリー状態:Low、Mid、High
  • F/Wバージョン:Ver.1 〜 Ver.16

オブジェクト設定

次の「データの設定」タブで設定したデータをia-cloudオブジェクトにまとめて、メッセージ出力する際のオブジェクトのプロパティを設定します。

  • 定期収集周期:
    データ項目の設定で設定されたデータ一式を定期的にia-cloudオブジェクトとして送出する周期を、秒単位で設定します。これは[通信ノード]で設定した下位の通信周期とは異なり、ia-cloudオブジェクトを送出する周期です。送出する時点での最新値を出力します。
  • 非同期収集有り:
    収集周期以外に、データに変化があった場合にia-cloudオブジェクトを送出するオプションです。設定されたデータ項目のどれかに変化があった場合、ia-cloudオブジェクト全体を出力します。
  • objectキー:ia-cloudオブジェクトにつけるユニークなキー文字列です。
  • objectの説明:ia-cloudオブジェクトにの任意の説明です。この説明も都度、ia-cloudオブジェクトに内包されて送出されます。

データ設定

ia-cloudオブジェクトとして送出する、データ項目を設定します。各データ項目は、シグナルウォッチャーの以下の変数どれかを選択し、そのデータ名称を設定します。複数のデータ項目を指定できます。

  • 設定できるシグナルウォッチャーのデータ
    ia-cloudオブジェクトとして送出する、データ項目を設定します。
    • CH1状態:off – 消灯、on- 点灯、slowBlink- 低速点滅、fastBlink – 高速点滅、momentaryOff – 瞬時消灯、 MomentaryOn – 瞬時点灯 
    • CH2状態: 同上
    • CH3状態: 同上
    • CH4状態: 同上
    • 電波状態:
    • 電池状態:Low、Mid、High
    • FWバージョン:Ver.1 〜 Ver.16
  • データ名称
    送出するデータにつけるデータ名称:デフォルトでデータ項目と同じ名称が設定されています。データに固有名前をつけたい場合は、自由に書き換えることができます。

以下、データ設定の設定画面例です。

[シグナルウォッチャーA&E]ノード

以下の説明では、因幡電機産業のシグナルウォッチャーSE-SW001Aを接続し、警報やイベント情報を取得するアプリケーションを作成します。因幡電機産業のシグナルウォッチャーSE-SW001Aの以下のデータ状態の時にアラーム&イベントオブジェクトを出力します。

オブジェクト設定

次の「警報・イベント設定」タブで設定した警報やイベント情報をia-cloudオブジェクトにまとめて、メッセージ出力する際のプロパティを設定します。

  • 定期収集周期:
    データ項目の設定で設定された警報やイベント情報を定期的にia-cloudオブジェクトとして送出する周期を、秒単位で設定します。送出する時点での最新値を出力します。
  • 非同期収集有り:
    収集周期以外に、警報やアラーム状態に変化があった場合にia-cloudオブジェクトを送出するオプションです。通常チェックありで使用します。
  • objectキー:ia-cloudオブジェクトにつけるユニークなキー文字列です。
  • objectの説明:ia-cloudオブジェクトにの任意の説明です。この説明も都度、ia-cloudオブジェクトに内包されて送出されます。

警報・イベント設定

データ構造型

ia-cloud仕様で規定されるデータ構造で、Alarm&Eventデータモデル固定です。
アラーム&イベントモデルのデータは、設定された警報・イベントを以下の文字列で出力するデータモデルです。

  • 発生: ”set”
  • 復帰: ”reset”
  • 発生中: ”on”
  • 発生していない: ”off”
アラーム&イベント設定

ia-cloudオブジェクトとして出力するアラーム&イベントを設定します。

  • アラーム&イベント対象データ:
    設定可能はアラーム&イベントは以下の通りです。
    対象のステータスビット情報をプルダウンリストから選択します。
    • CH1点灯状態が指定の状態である時
    • CH2点灯状態が指定の状態である時
    • CH3点灯状態が指定の状態である時
    • CH4点灯状態が指定の状態である時
    • 電池状態が電圧低下の状態である時
  • A&Eコード:
    警報やイベントを表す番号やコード。(一般に警報番号(数字以外もOK)を設定することを想定しています。)
  • A&Eの説明
    警報やイベントの内容を表す文字列。(一般に警報メッセージを設定することを想定しています。)

以下の設定例では、CH1が点灯する時とCH3が点滅状態の時に、アラームを出力する設定をしています。アラーム発生時と復帰時に送出する他、60秒毎に状態を送出しています。

ia-cloudへの格納

ノードの選択の項で示したフローでは、[シグナルウォッチャー]ノードと[シグナルウォッチャーA&E]ノードの出力メッセージをia-cloud接続ノードに接続して、ia-cloudサービスへのデータ格納を実施しています。

ia-cloud接続ノードの設定は、他のデータ収集ノードとの接続と同一です。一度どこかで、ia-cloudサービスの接続URLとID・パスワードを保持する設定ノード[接続先CCS]を作成した場合は、それを流用して設定が可能です。ia-cloudサービスが、どの[ia-cloud接続]ノードからの接続かを認識できるように「データソースのユニークキー」(ia-cloudオブジェクト項目の「FDSKey」)を設定しておきます。

設定完了後[デプロイ]ボタンを押すと、[ia-cloud接続]ノードはia-cloudサービスへの接続を行い成功すると[ia-cloud接続]ノードのステータスが「接続済み」となります。また、定期収集や非同期収集のタイミングで[シグナルウォッチャー]ノードと[シグナルウォッチャーA&E]ノードからデータが[ia-cloud接続]ノードへ送られると、ia-cloudサービスへのデータ格納を行い、[ia-cloud接続]ノードのステータスが「要求完了」となります。また、[debug]ノードを[ia-cloud接続]ノードに接続しておくと、ia-cloudサービスが応答したメッセージを確認することも可能です。

点灯状態のグラフ表示

サンプルで示したフローは、すぐなるウォッチャーのデータを直接ダッシュボードにテキスト表示をします。

  • CH1の点灯状態
  • CH3の点灯状態

を収集しています。これを[データ抽出]ノードで抽出し、標準ダッシュボードの[テキスト]ノードで表示します。点灯状態は文字列

  • 点灯時: on
  • 消灯時: off
  • 低速点滅時: slowblink

等と表示されます。

[テキスト]ノードの使用法について、「ダッシュボードアプリの作成入門編」を参照ください。とりあえず、グラフのタイトル設定をしておきましょう。以上の設定でデプロイし、ダッシュボードを表示すると、タワーライトの点灯状態が表示されます。タワーライトの点灯状態で設置されている設備の運転状態をガントチャート名で表示するのが一般的と思われます。ia-cloudダッシュボードにはこのような設備状態をガントチャート表示するダッシュボードノードが用意されています。例示したサンプルフローにはこのガントチャオート表示を含んでいます。ia-cloudサービスへ格納されたデータをもとにガントチャートを表示しています。詳細はダッシュボードアプリ作成の上級編をご覧ください。